昭和42年、西戸田養護学校発行の「西戸田の里」の第3回です。今回は、「1年のあゆみ」の後半部分を掲載させていただきます。
1年のあゆみ
全校描画会
みんなで一緒に楽しく絵をかこうという目的のもとに、全校描画会が、年2回計画された。小学部1年から中学部3年まで、各学年ごとに題を決め、製作した。小学部週2時間、中学部2,3年は1時間という少ない時間数では、1テーマで何週にもまたがり、興味の持続がむづかしいが、1日描画会は時間数の補充も兼ね、楽しく製作した。午後の安静中に、校長先生をはじめ、先生方全員に図工室で審査をしていただき、写生毎に特選1,入選1を決め表彰した。
左義長
元来、門松や、しめ飾り等を焼いて悪魔を払い、福を願う火祭を左義長といいます。みんなで、パチパチとすさまじい音で燃え立つ火の廻りを囲みます。1月13日冬の寒さもどこえやら、思わず一歩後退です。習字の上達を願って、竹の先に書初を付け、炎に近付けて空高く舞い上げました。火が衰えてきますと、残り火でお餅焼きです。おいしそうなにおいがしてきました。生焼けの餅、真黒な餅、口の廻りを黒くして食べました。みんなの顔は、真赤です。
誕生日会
本校では月例行事として、誕生日会を行います。当日は全校で、その月に生まれた在校生と先生方の誕生日を祝って、演芸会を催します。演技は出演当番の学年の全員で行われます。出し物は、器楽演奏、合唱、劇などです。詩や作文の朗読もします。また、先生の飛び入りは楽しみの一つです。単調な生活に潤いをあたえようと、娯楽部員を中心に、みんなで力を合わせています。今後、もっともっと楽しいものにして父兄の皆さまにも御覧頂きたいと思っています。
映画会
本校の児童生徒は全員親もとを離れ、療養のかたわら学校で学習を続けていますが、これら児童生徒の気持ちを慰め、また情操育成のために催される映画会は大変意義のある会であります。本校のような小規模校では、単独でそのような会を催す事は困難なため、西神地区視聴覚教育連盟に加入して年間8回、夏期7、8月には夜間納涼映画会を各1回ずつ娯楽を主にした映画を上映しています。また本年度は16ミリ映写機を購入して、神戸市立校園で結成されたフィルムライブラリーのフィルムを利用して学習面にも活用できるようになりました。
図書室だより
「情操を豊かに」という計画をもとにし、本年度は特に美術教育充実のために世界美術全集の購入と各学年に応じた文学書の購入をしました。また下記の方々より図書の寄贈をしていただきました。
退所生、渡辺敏一氏より70冊、県立明石高等学校学生有志より51冊、平凡社より7冊、以上128冊。西戸田の里で療養を続ける児童生徒は週1回の貸出し図書を療養の友とし、感謝しつつ読書に耽っています。
国旗掲揚塔
去る9月に、校舎前の花壇の中に、国旗掲揚塔が設置されました。高さ約10米程度ですが、澄みきった空に、きよらかな風を受けて校旗がひるがえっています。朝の日もいとわず、冷たい手にむちをうちつつ週番の生徒が今日も、祈るかのように校旗をあげている姿は本当に涙ぐましい程清純です。
ぼくら わたしら がんばろう
大いなる試練の 恵み受けて
希望はるけく 里の気に
螢雪の道 励みつつ
高く かかげた 自治の旗
と校歌にもうたわれているように、この学び舎の児童生徒は学習に、療養に、元気にはばたける日のために精進いたしております。
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